特許を取りたい!でも、そもそも特許って何??

特許を取りたい!
でも、そもそも特許って何??

特許って何?

「知的財産権」を広辞苑で調べてみると、「特許」という言葉は皆さんご存知だと思います。ですが特許ってナニと改めて考えると正確に説明するのは難しくないですか?

広辞苑には次のとおり記載されています。「特定の人のために新たに特定の権利を設定する行政行為。新規で有益な発明について特許法に基づいて独占権を付与すること。」なので、特許をとるっていうのは、ちょっと正確な表現ではないですね...。

特許の対象となっているのは、発明

特許の説明の中で「発明」という言葉がでてきました。
そうです、特許の対象となるものが「発明」です。

では、「発明」とは何でしょう??
特許法には次のように定められています。

「発明とは自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう」

自然法則を利用していること

「自然法則」とは、自然界において経験的に見出される科学的な法則です。
「利用」とは、一部に利用しないものがあっても全体として利用していればよいとされています。
例えば、自転車を例に挙げると、ペダルを踏むとその踏力がクランクを介してギアンクランクへと伝わり、
ギアクランクの駆動力がチェーンを介して後輪のスプロケットに伝わり、
スプロケットに接続されている後輪が回転するといったことです。

では、「自然法則の利用」に該当しないものはなんでしょう?
よく言われるのは、

ゲームのルール自体は該当しない
単なる人為的な取り決めだから自然法則に該当しない。
永久機関は該当しない
自然法則に反するものとされているため。
万有引力の法則
自然法則そのものであり、利用ではない。

技術的思想であること

「技術」とは、一定の目的を達成するための具体的な手段で、他人に伝達できる客観性が必要です。
また、反復して同一の結果をある程度得ることができるものでなければなりません。
なので、フォークボールの投げ方のような技能は技術的思想にはなりません。
また、絵画などの美的な創作物は技術的思想に該当しません。

創作されたものであること

「創作」とは新しいことを作り出すことです。
なので、発見は作り出してはいないので、発明に該当しません。

高度のもの

特許法において「高度」と記載されているのは、実用新案法における「考案」と区別するためのものです。
高度であるか否かは、以下に記載する新規性及び進歩性があれば足りるとされています。

上記のように該当しない物の例に該当しなければ特許法上の発明として認められます。

特許権は、発明を独占できる権利

上記「特許って何?」で説明したように、特許とは発明について独占権を付与することです。ここで、独占権とは、その文字通り、独占できる権利なのですが、これはとても強い権利です。発明を独占できるので、言い換えれば、発明を真似て実施している人(権利侵害者)に対して、その実施行為を止めさせることができます。また、権利侵害者に対して、侵害によって生じた損害(権利侵害者が得た利益)を金銭の給付で補填してもらうことができます。このように、特許権はとても強い権利ですが、権利の期間には制限があります。権利の期間は、特許出願を特許庁に行った日から20年です。

特許権は、発明を独占できる権利

特許権を取得したい!
でも、どうしたらいいの?

さて、特許権を取得するにはどうしたら良いのでしょうか?
手順としては次の3ステップです。

  1. 特許出願をおこなう
  2. 審査を受ける
  3. 審査をパスしたときに特許料を納付する。

各ステップについて具体的に説明しますね。

手順としては次の3ステップです。
  1. 特許出願を行う

    特許出願を行う際には、願書、明細書、特許請求の範囲、要約書、及び図面(必要に応じて)といった書面を準備する必要があります。
    各書面の具体的な記載方法については以下の通りです。

    特許
    • 願書
      願書には、特許を出願することの表示や、出願人(出願を行う者)や発明者の氏名や住所などを記載します。
      願書の作成方法(https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/document/syutugan_tetuzuki/02_01.pdf#page=3)が特許庁に公開されているので、この作成方法に沿って記載します。
    • 明細書
      明細書には、発明の内容を具体的に分かりやすく記載します。
      明細書の作成方法(https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/document/syutugan_tetuzuki/02_03.pdf)が特許庁に公開されているので、この作成方法に沿って記載します。
      ここで、ポイントとなるのは、背景技術→発明が解決しようとする課題の記載です。
      これは以下に説明する特許請求の範囲の記載と関連します。
      また、【発明を実施するための形態】も大切です。特許請求の範囲に記載した発明の内容をわかりやすく記載します。図面を用いて説明するのが良いですが、説明する際には各構成の説明と、構成同士の関係性を説明していく必要があります。
    • 特許請求の範囲
      特許請求の範囲は権利範囲を定める書面であり、特許庁の審査(新規性、進歩性)の判断対象となる書面です。
      特許請求の範囲の作成方法(https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/document/syutugan_tetuzuki/02_02.pdf)が特許庁に公開されているので、この作成方法にそって記載します。
      記載のポイントは、どのように発明を特定するのかです。発明は、一般的に、明細書に記載した課題を解決するための構成を複数有しています。各構成と、構成同士の関連性を明確かつ簡潔に記載する必要があります。
      また、発明を複数の観点から捉え、各観点を請求項ごとに記載します。
    • 要約書
      要約書には、発明の概要を把握しやすく記載します。

      要約書の作成方法(https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/document/syutugan_tetuzuki/02_05.pdf)が特許庁に公開されていますので、この作成方法に沿って記載します。
      なお、要約書の記載が権利範囲に影響を及ぼすことはありません。
    • 図面
      図面には、明細書に記載した【発明を実施するための形態】に応じたものを記載する必要があります。
      明細書に記載された発明の各構成がどのような態様であるかを補助的に示します。
      図面の作成方法(https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/document/syutugan_tetuzuki/02_04.pdf)が特許庁に公開されているので、この作成方法に沿って記載します。
  2. 審査を受ける

    審査請求

    特許出願を行っただけでは審査は開始されません。特許を出願した日から3年以内に審査請求という手続きを特許庁に行う必要があります。
    この手続をすると審査が開始されます。
    なお、出願画から3年以内に審査請求を行わない場合には、せっかく行った特許出願が取り下げたものとみなされてしまいます。

    審査対応

    特許庁の審査官が出願内容を審査します。
    その審査において、特許することができない理由が発見された場合には拒絶理由が通知されます。
    拒絶理由が通知されると、通知があった日から60日以内に意見書や手続補正書を提出して、拒絶理由に対応する必要があります。
    対応を行わない場合には、出願が拒絶されることになります。

    特許することができない理由には
    さまざまな理由があります。

  3. 審査をパスしたときに
    特許料を納付する

    上記審査を受けた結果、拒絶の理由が発見されなくなった場合には、特許査定が通知されます。
    特許査定の通知があった日から30日以内に特許料を納付することで、特許権が設定登録されます。

    審査をパスしたときに特許料を納付する